大江慎也&The Roostersの軌跡

その昔、ルースターズというバンドがあって、SからZに変わって、大江さんが復活して・・・

マイ フェイバリット ルースター (2000.06.06)

■マイ フェイバリット ルースター / Kumaさん (2000.06.06)

1980年、いつも友人Tの家で真面目にレコードばかりを聞いていた。
Tが日本のバンドでおもしろいのがあるからと言って針を落とした。
The Roosters!なんやこいつらは?
ストーンズがライブでやっていたブルースからバンド名パクりやがって!
かっこええじゃないか!

ジャケットを見るとキャロルやクールスよりもボンクラ(泥臭くて)っぽくてかっこええのう!
音は全然愛想がなくて早い。
きっと、こいつらハウンドドッグテイラーやストーンズやフィールグッドやインメイツが好きなんだろうな。
いやどちらかと言うとビショップスに音の感じが近いなと思った。
友人Tは絶賛!当事俺たちはブリティッシュビートを好んで聞いていたので、なんやこいつら真似しやがって! 悔しいのう!
ライナーノーツは菊が書いていて何度か読み返したのをおぼえている。

しばらくしてサンデイアフタヌーンにぼんやりテレビジョンを見ていたら、シンナーを吸って風呂に入ってそのままスタジオに来たような感じの4人組が出てきて、Hな歌詞をヒートウェーブのリズムでぶっきらぼうに演奏した。
司会のさんま達がきょとんとしていて面白かった。
これがルースターとの出会い。
それ以来、雑誌プレイヤーの大江のインタビューなんかを読んだりしてるうちに絶対博多に行ってバンドしようと考えるようになり、博多の大学に行くことにした。

80Sファクトリーで初めてルースターを見たときの印象はどうせモッズやロッカーズよりもかっこわりいんだろうなと思っていたらブルースを早く演奏してえらいかっこいい!MCも一番クール。安い靴の歌とかその程度。
大江のギターのカッティング、カクッとした動きのかっこいい事。
最後の曲が終わるとギターをドンと捨てて帰るのがやたら印象的だった。
それは床にギターを叩きつけるわざとらしいパフォーマンスとは一線を画していた。

しかし...博多に行けばブリティッシュビートやブルースに詳しい奴が多いんだろうなと期待していたが、現実はパンクもどきっぽい奴らばかりで、それも内容が薄い。
ルースタ-ズが特別だっただけ。
そうルースター達は博多じゃなくて、もっと空がどす暗い小倉だったんだと後で気付いた。
バンドシーンも博多は意外と上下関係があって、モッズの下にモダンドールズやグラススピリッツやアクシデンツやアンジーがあってとかそんな感じだった。
ルースターの徒党を組まない、みんなで酒を飲まないようなクールな感じとはちょっと違っていた。

小倉にも時折ライブを見に行っていたが、やはり当事ハイヒールや弁天小僧やアップビートアンダーグラウンドといった奴らは博多の体育会系クラブタッチとは違い、ちょっと異質な(ぼんくらでクールで寂しそうでちょっと知的な)感じがしてかっこ良かった。
実際、先輩の家で南浩二さんに会った時もちょっとだけしゃべって寝室に消えて行き、すごいクールな感じで印象的だった。

そのうち、ルースター達は隠していたのかベルベットアンダーグラウンドな方向に行き始めた。
高校の頃からVUのマクセスカンサスシティライブはよく聞いていたので違和感はなかったが、徐々に少し寂しい感じになっていった(実際博多でも、NYパンクやVUっぽい感じのバンドが増えていた)。

大江が無愛想だったんで東京の先輩ロッカー達に囲まれてボコボコにされたのか、柏木がいけないのか、血液型がAB型がいけないのかよくわからないが、どんどん大江は遠くに行った。
しかし、僕は大江の行動・言動は興味深く常に注力していた。

そんなこんなで僕も博多で22歳までは学校も行かずバンドしていたがきっぱりとやめた。
大江が22歳でデビューしていたのが一つの目安だった。24歳で就職し、今は田舎の団体職員だが、通勤時はガーランドジェフェリーズ・ミンクデビル・ドクター・オンリーワンズなんかに混えてルースターを聞いている。

家では時折、1981年80sファクトリーライブやデビュー前のウォーキングドックとキャロルを演奏するルースターのビデオを一人で見ているが、やはりかっこいい!
いろんな意見があると思うが、100人くらいが座れるパブかなんかでR&Bを演奏する40歳のルースターズウイスキー飲みながら見たいものである。
カリスマとかどうでもいいから...。